郡山市は、UIJターンでの創業、若者や女性の創業を応援しています。
学生が郡山について学び、働くことを考えるきっかけにするために、今回は、郡山情報ビジネス公務員専門学校の学生さんが、実際に郡山市で創業した方々を取材し、創業のきっかけ、郡山で創業してよかったこと、苦労したこと、これからの目標などをうかがいました。
- 木村哲平
- 松本かおり
- 鈴木貴大
協力:郡山情報ビジネス公務員専門学校 経営流通ビジネス科
株式会社 concept-village馬場大治
Q.創業のきっかけは?
東日本大震災以前は、福島に全く興味がありませんでした。震災の復旧作業で帰省したとき、福島をふるさととして意識するようになり、当時の職業である広告代理店の仕事を通して、いつか福島に関わりたいと考えるようになりました。
1年後、郡山で開催された「福島の課題を考えよう」というワークショップに参加した際、同世代の若者たちが実際にアクションを起こしている姿を目にし、「いつかは福島に...」と思っていた自分が情けなく、悔しく思えてしまったんです。その3か月後、広告代理店を退社し、福島に戻り、色々な事業者のお話を聞いてまわった中で、一番心に刺さったのが「農業の分野」でした。
祖父母が兼業農家であったため、2歳から高校卒業まで祖父母を手伝うことで農作物を作る大変さや売れる喜び、また、「これがどうして300円もするの?」と言われる悔しさも知っていました。そしてお客様に、農作物の収穫までの背景を伝えることで納得して買っていただけるということも知っていました。
自分の中にこのような「農業」というバックグラウンドがあったことや、当時「福島の農業が直面していた風評被害」を自分のこととして捉えられたため、「農業分野」で起業しようと考えました。
Q.事業内容は?
6次化産業に携わる農家の皆さんのサポートをしています。震災を機に福島の農作物はそのままの状態では売れなくなってしまいました。そこで、加工をし、付加価値を付けて販売しようという取り組みが始まったのです。
コンセプト・ヴィレッジという会社は、モノづくりの会社ではなく、価値づくりの会社なんですね。農家に合わせたターゲットやどんなブランドを生み出せばいいのか、事業資産のビジョンはどうかなど、言語化し、整理して、足りないことについて共に考え、プロデュースしています。
Q.郡山での創業の理由は?
起業することはたやすいことではないので、地の利が多く、人との繋がりも多い地元、郡山を選びました。
Q.郡山で起業して良かったことは?
福島県内各地へのアクセスがしやすいことです。それから、郡山は情報が集まりやすい環境にあり、震災以降の取り組みの中でco-ba郡山など、情報感度の高いものが多くできています。情報伝達のスピードの早さもメリットとしてあります。
Q.不安に思うことや苦労したことは?
常に不安は消えません。起業は覚悟のいることですね。「農業分野」は一生かけて取り組んでいける業態だと考えています。農家の皆さんは、トラクターなどの目に見えるものにはお金を出せても、デザインやブランドなどの目に見えないものにはお金を出せない傾向があります。農家との共通の価値観を作り上げることに苦労している部分があります。また、当初はビジネスモデルを考えておらず、ビジネスモデルを構築するまでの苦労もありました。
一度、起業したならば、継続していかなければなりません。だから、大切なことは対価として確実にお金に変えられるものを提供することだと感じています。
Q.今後の目標や夢
当初、風評被害で苦しむ農家に何かできないかということで始めましたが、農家の皆さんから話を聞いていくうちに、売上げが下がった原因は、震災前から抱えている課題にあるということや、原発事故以外にも根本的な原因があるということがわかってきました。
そこで現在は視点を変え、震災以前から福島県の農業が抱えている課題の解決にあたっています。こうした課題の解決にあたっていると、福島県だけの農業の課題ではなく、日本全体の農業が抱えている課題であるということに行き着きました。その課題を福島で解決し、日本のモデルをつくりつつ、福島発で日本の農業を変えることが当社のゴールだと思っています。
Q.これからの農業
農業は、数ある産業の中で一番古くからある産業であり、一番新しい産業です。現在の農業は、美味しいものを作るのは当たり前。これからの農業は、地域を変える手段としての農業という位置付けに変わっています。
Q.若者へのメッセージを
時間がある学生時代には、考えることで自分のやりたいことを見つけたり、海外旅行や普通列車での旅をしてみるのもいいと思います。今後の自分にとっての価値や蓄積になることをたくさんして欲しいです。
また、本を読んで欲しい。遠く離れた人や偉人の考えに触れることができますから。
代表取締役/プロデューサー
馬場大治
郡山市富田町下曲田25-10#203
TEL.024-953-3418
取材・ライティング
郡山情報ビジネス公務員専門学校
経営流通ビジネス科 1年生
木村哲平・鈴木貴大
ワンリフレクト杉本恵美
Q.仕事内容は?
フィジオという機械を使ったフェイシャルエステとヘッドマッサージをメインに女性専用のお店をオープンさせました。
このフィジオはお客様の背中に板を入れ、もう一方の板を足で踏んで回路を作り電気を流す機械でアンチエイジングや自律神経を安定させる効果があります。
Q.創業のきっかけは?
服飾の専門学校に在学中、スタイリストのアシスタントをしていましたが、体調不良で辞めることを余儀なくされた後、カイロとエステの先生から誘われ、その勉強を始めました。思えば、専門学校在学中も疲れている友達の足裏マッサージをしていた自分は、もともと人を癒すことが好きなのだと思います。そうして勉強を始めたことが今に至るきっかけとなっています。
当初は、雇われて働いている方が良いと考えていましたが、震災時に疲労を感じ、個人経営のリラクゼーションサロンを訪れた際、1対1での時間をかけた施術に感動し、元気になれた私は、お客様と向き合える1対1の施術がしたいと考えるようになり、個人経営を選びました。
Q.お客様と接するうえで気を付けていることは?
サロンは、癒しの場所。お客様を疲れさせないように無理に自ら話しかけないように心がけています。お客様から話していただいて、それに応えるスタイルで向き合っています。
Q.郡山で創業して良かったこと、苦労したことは?
創業されている方の業種のバリエーションがとても幅広いと感じます。異業種の方々から色々な話を伺えることが良かったことです。
同様に、同業者もとても多いです。その点は苦労するところです。数多い同業者と区別するためのセールスポイントとしては、お客様に忙しさから距離を置いていただこうと考え、街中ではなく、郊外に店舗を構えたということがあります。忙しさから距離を置くサロンです。リラックスすることはとても大事です。わたし自身も、休日にはヨガに通っています。2週間に一度開催される教室でヨガを楽しむことが、わたしのリラックス法です。
お客様にとって、ワンリフレクトがリラックスできる場所でありたいと思っています。
Q.店舗名の由来は?
「One」は一人ひとりのお客様のこと。「Reflect」は反射という意味があり、施術後にお客様が鏡を見たときに良かったと思って下さるように願いを込めてつけました。
映すということでは、お客様の求めていることを自分が映し取る、感じ取るということにも通じるかもしれません。以前スタイリストのアシスタントをしていた時も、モデルが求めていることを把握していなければなりませんでした。エステもお客様が求めているものを感じ取らなければならないところが似ていると感じます。
Q.今後の目標は?
海外に行って思う事は日本人の繊細さと細やかな気配りです。エステにおいても日本の技術は海外と比べて優れたものがありますし、自信があります。今後の目標はお店の認知度をあげ、フェイシャルエステならワンリフレクトと思って頂けるようにしていきたいです。そしてこのエステを海外の方にも体験して頂きたいと思っていて、その為にはどうして行くか思案中です。
Q.若い人たちへのメッセージ
やる前に悩むのではなくやってから悩んだ方がいい。やらないで後悔するよりもやってから後悔することを選んで欲しいと思います。失敗してもそれを活かして軌道修正は出来ると思います。恐れずに色んな事を経験して頑張ってください。
理学美容ビューティーセラピスト
杉本恵美
郡山市安積町成田字西前坂1-69
TEL.024-955-6808
取材・ライティング
郡山情報ビジネス公務員専門学校
経営流通ビジネス科 1年生
松本かおり・木村哲平
福島TRIP臼井翼
Q.福島TRIPとは?
編集部のライター、フォトグラファー全員が福島県出身で、福島の観光スポット、ご当地グルメや宿泊地などの情報を発信しています。福島TRIPを見て福島を訪れるきっかけになるように魅力を伝え、さらにまた来たいと思ってもらえるようなものにしたいという目的で運営しています。
そのために、地元の方の視点と観光客が喜びそうな客観的な視点を交え、例えば大内宿のような観光スポットへ行った時、具体的にどんなものがあって、なにがオススメかを紹介することで「福島ならでは」をWEB上で擬似体験できるような情報を発信してます。
発行部数が累計1,000万部を超え、女性へのアプローチに特化した旅行ガイドブック「ことりっぷ」WEB版など大手メディアと連携することで、福島TRIPの情報を全国のもっと多くの人に向けて情報発信するという取り組みも行なっています。
そのほか、福島TRIPではフェイスブックやツイッターといったSNSも活用していて、そこでのファンが福島TRIPの情報を受け取り、いいね、コメント、シェアをしてくれています。約4割が福島の人で、「福島県ってこういうところ!」というように拡散してくれる熱心なファンの方も多いです。
Q.創業のきっかけは?
情報発信を主としたサイトは沢山ありますが、情報の更新がされていなかったり、スマホで情報サイトにアクセスしてもスマホ用に作られていないという現状があります。前職で、WEBメディアの仕事をしていたため、その視点で考えたとき、「観光客に対してこれでいいのか」という思いがありました。実際、飯坂温泉に3人で観光に来ていた女性客が「情報がなくて困っている」と言っていたという話を聞き、とてももったいないと感じ、これは福島全域にある現状なのかなと思いました。そこで、こうした方々の受け皿となるものを作れないかと考えたことがきっかけでした。
僕と同じWEBメディアの仕事をやっていた幼馴染がいましたが、カメラマンがいませんでした。勢いで「やろう」と言ってしまったため、知り合いを当たり、僕の小学校の同級生にたまたまカメラマンがいて何とか立ちあげられるようになりました。最初のきっかけは、勢いが大事だと思います。いろいろ考えてしまうと嫌だと感じてしまうので、やろうと思ったらやると決めてやりました。
Q.立ち上げてよかったことは?
「福島TRIPを見て観光に行って楽しかったです。また参考にさせてください」という読者の声を直接聞くことができると、やって良かったなと思います。編集部には学生もいるのですが、ここでの仕事を自分の実績として就職活動でPRし、早期に就職が決まったという者もいます。一緒に活動するメンバーのキャリアアップなど、何らかの形でプラスに働いたことが嬉しかったです。
Q.苦労した点は?
福島TRIPは前職で会社員として働きながら始め、そして続けていました。仕事を終わらせた後に福島TRIPの仕事をしていたので、時間には限りがありました。時間の使い方はとても意識していました。
取材などで、現地に行くのですが、当時は東京に住んでいたので福島の情報が入りにくく、そのような情報の感度は東京にいるときのほうがおちると思います。それでも、自分のやりたいことを始めるのに苦労したわけではなくて、熱量というのが重要なのだと思います。自分がやりたいと思って、熱をもってやり続けられるか。その熱量があれば、辛いとはあまり思わないです。
Q.地元に居続けるか、一度は東京に行った方がいいのか?
東京に行かなければいけないという固定観念に僕は違和感があります。僕自身、当時は福島しか知らなかったので上京した時は、東京ってこんな世界だったのかと視野が広がり、結果的にWEBの世界に入りました。しかし、本当に東京だからできることって実は限りがあって、今は場所に捉われない選択肢も増えています。だから、東京に行けばできることが少なくなっているので、あくまで東京に行くのは選択肢のひとつであって、それがすべてだとは思っていません。
Q.今後の夢や目標は?
目標としては、3つあります。1つ目は福島TRIPを福島代表の観光Webマガジンとして大きくしたい。今は県内でもちゃんと情報を出せてる所は少ないですし、代表的な存在がありません。そんな福島の機会損失を福島TRIPの活動により無くしていきたいです。2つ目が福島ではWEBの活用が十分でない企業が多いので、僕が福島に帰ってきたことを機にWEBの活用やWEBマーケティングの啓蒙をしていきたいと思っています。
3つ目が、みなさんのような若い学生に刺激を与える存在になっていきたい。僕自身が「福島で面白いことをしている人」というモデルケースになることで、県内の若い方が「地元でもやれるぞ」というチャレンジのキッカケになれればと思っています。
編集長/Chief Editor
臼井 翼
info@fukushimatrip.com
TEL.080-4432-4396
取材・ライティング
郡山情報ビジネス公務員専門学校
経営流通ビジネス科 1年生
鈴木貴大・松本かおり
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